100日後に死ぬワニ

まあ、劇場版100日後に商業的に殺されたワニ、正直コロナ禍でも理由にポシャらせてこんな墓穴から掘り出してまで死体蹴りのような真似しなくてもいいじゃんとは思う。

 

でも俺は100ワニのコンセプトそのものは高く評価してる。

普通に恋したりバイトしたりゲームしたりする青年の、特になんの変哲もない日常に死ぬまでのカウントダウンつけて毎日更新するというアイデアであそこまで色んな人の心に響くように出来たって事は凄い。

まあ、最後に広報が商売っ気に走りすぎて死んだ瞬間にグッズやらなんやらの情報公開して盛り上がりきった雰囲気を急速冷却する社会実験までしてしまった所が実にバカだけど。あれも死んだ瞬間はいきものがかりのPVだけにしてグッズ展開は一週間後、せめて翌日か百歩譲って日が変わるまで待ってればちょっとは違ったかも知れんのにな。

 

なによりグッズ化なり映画化なり考えた人が致命的に間違ってたのが主役が誰かってことだよな。ワニが狂言回しの主人公役では有るが主役じゃない。もちろんセンパイやネズミでもなく100ワニの主役は死ぬ迄のカウンタなのである。だからWebでは常に画面端にあった死ぬまでのカウントダウンを抜いてワニの生きざまを描いたところでそれはただ単に絵にもキャラにも話にも魅力の薄い平凡な青年のヤマもオチもない生活を見るだけなのでそりゃ面白くなるわけがない。追加キャラのカエルもとにかく不快。新しい知り合いの影響で改めて前に進む面々ってのをやりたかったんだろうが手垢のついた展開に不快なキャラでまあ、失敗こいてるわけである。

 

映像化するなら日祭日も休み無しの5分枠帯番組とかで死ぬまで何日ってカウントしながらやるしかないよなぁと思いつつ、流石に映画化するなら何か映画の尺に耐えられるような手管使ってくれる筈だと思ってたらそんなことはなく淡々と100ワニのエピソード並べるだけだったんでそりゃ映画の画面や尺に見合わないスカスカな映像になるよなぁ。せめて劇場版鷹の爪団のバジェットゲージみたいに画面脇に常にワニの寿命表示させて日が進むたびに寿命減っていくようなギミックでも欲しかったよ。それやったらギャグになっちゃって制作陣のお涙頂戴やりたい意向には全く沿わないだろうけど。

 

まあ、ネット上の盛り上がりから急速冷却までの社会実験としてとても面白い現象だった100ワニの墓穴としてふさわしい映画ではあったのかな。